2018年3月30日金曜日

吉川惟足の「奥の細道」について

 吉川惟足の「奥の細道」(雲英末雄旧蔵)
 http://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/html/bunko31/bunko31_a0171/index.html

吉川惟足(よしかわこれたり)の没年は、松尾芭蕉と同じ元禄7年(1694-5年)ですが、この本の奥付には、宝永二(1705年) 乙酉 八月七日 と書かれています。
つまり、この本は吉川惟足の死後に、誰かが書写したものということになると思います。とは言っても、もとは吉川惟足が書いた本であり、原本は少なくとも元禄7年以前に書かれたものであるのは間違いないと思います。

それで、その内容なのですが、この本の「奥の細道」は、素龍の柿衛本や西村本とは明らかに系統が異なります。
 この本は、東京大学総合図書館蔵の昔安本と同系統で、年代からすると、吉川惟足本がその親本ではないかと思われます。

吉川惟足は、曽良の神道の師匠であったということですから、案外、曽良本の訂正にも関与していたのかも???(^^)(^^)


昔安本 蕉翁おくの細道 / 芭蕉庵桃青 [著]
伊藤昔安 [写]
享保19 [1734] 


この記事は、備忘録として書いたものですが、今後、具体的なデータなども示して行きたいと思います。
2018.3.30





曽良本01b.09「関こえ舞(む)とそゝろかみの」
惟足本07a.05-06「関こえ無(む)と楚(そ)/\ひかみの」
昔安本01a.07-08「関こへ無(む)とそゝひかみの」
西村本01b.03「関こえんとそゝろ神の」

・惟足本と昔安本では、「そゝひかみ」と誤記されている。あるいは、惟足本は、「関こえむとぞ、くひかみの」とした可能性もあるように思われる。曽良本を底本と仮定するなら、「そゝろかみの」が「そくひかみの」とも読めるための誤読という可能性もあるように思われる。

早稲田大学図書館 書写F(吉川惟足)
芭蕉自筆奥の細道 上野 洋三 桜井 武次郎 編 岩波書店 自筆本
天理図書館善本叢書〈和書之部 第10巻〉芭蕉紀行文集 曽良本
河西本 おくのほそ道 村松友次 笠間書院 河西本
素龍筆 柿衛本 おくのほそ道 岡田利兵衛編 新典社 柿衛本
影印 おくのほそ道 櫻井武次郎編 双文社出版 西村本
校本おくのほそ道 西村真砂子 編著 福武書店 p245-282  影印  昔安本(東大本)

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2018.5.14更新
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