蕪村筆奥之細道 上巻
底本 国立国会図書館
奥之細道 上巻
著者:与謝蕪村 [筆]
出版者:村山旬吾 昭和7
書誌はないのですが奥付けより 印刷所:國華社
現在この画巻は、京都国立博物館が所蔵しています。
e国宝
奥の細道図
与謝蕪村(よさぶそん)
重要文化財
2巻 紙本淡彩
江戸時代・18世紀
京都国立博物館 A甲534
京都国立博物館
奥之細道図
銘文/印章等
「安永戌冬十一月寫於 平安城南夜半亭旦畫 六十三翁蕪村」
上記の京都国立博物館の書誌は誤りのようです。
正しくは次のようになると思います。
「安永戊戌冬十一月寫於 平安城南夜半亭且畫 六十三翁蕪村」
安永七年十一月 (1778年12月~1779年1月頃)
[且畫]は[且書]の二つの読みで意見が分かれるようです。この点については後ほど詳しく見てみる予定です。
国会図書館
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2590993/23
与謝蕪村は奥の細道の絵巻類を、10作品程成したようです。そのうち4作品が現存し美術館や博物館に収蔵されています。
1.海の見える杜美術館蔵 (旧 王舍城美術寶物館) 絵巻 全一巻
安永七年六月 (1778年6月~7月) 略記:(海)
2.京都国立博物館蔵 (旧 平山亮太郎 蔵) (旧 北村太三郎 蔵)
絵巻 全二巻 (当ブログの底本)
安永七年十一月 (1778年12月~1779年1月) 略記:(京)
3.山形美術館蔵 屏風 一帖 六曲
安永八年秋 (1779年) 略記:(山)
4.逸翁美術館蔵 絵巻 全二巻
安永八年十月 (1779年11月~12月) 略記:(逸)
参考文献
1.(海) 海の見える杜美術館蔵
・奥の細道画巻 思文閣出版 (複製) (当方未見) 書誌:国会図書館
・与謝蕪村 翔けめぐる創意 MIHO MUSEUM (縮小カラー) 書誌:国会図書館
・若冲と蕪村 生誕三百年同い年の天才絵師 (縮小カラー) 書誌:国会図書館
2.(京) 京都国立博物館蔵
・奥之細道 (当ブログ底本) 書誌:国会図書館
・蕪村筆奥の細道図巻 書誌:国文研
両者は書名が違いますが、出版年と「國華社」の一致から同一と思われます。
・蕪村筆 奥の細道図巻 書誌: CiNii
注記に(原本: 安永2年筆. 故平山亮太郎氏蔵)とありますが、安永7年筆の誤りです。
(当方は未見ですが、ネット上の断片的な画像から、(京)の複製と判断します)
3.(山) 山形美術館蔵
・与謝蕪村 翔けめぐる創意 MIHO MUSEUM(縮小カラー)
・見ながら読む芭蕉の旅 奥の細道 学研 (縮小カラー) 書誌:国会図書館
・蕪村 没後220年 思文閣出版 (縮小カラー) 書誌:国会図書館
4.(逸) 逸翁美術館蔵
・奥の細道画巻 郷土出版社 (複製) (当方未見) 書誌:国会図書館
この画巻は28cm ですが、16cmの縮小版と混同されやすいようです。
・奥の細道画巻 蕪村筆維駒本 逸翁美術館 書誌:国会図書館
・奥の細道画巻 豊書房 書誌:国会図書館
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注:オークションなどでは、(京)と(逸)の巻物の複製がかなり出品されているようです。両者は似ているため、表記の混同などもあるようなので、買う前には箱書きや奥付けなどを出品者に確認した方がよいかもしれません。
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