01.力ありて聞ゆ
02.廾餘丁山を登て瀧有岩洞の頂より飛流
03.して百尺千岩の碧潭に落たり岩窟に
04.身をひそめ<入>て滝の裏よりミれはうらミの
05.たきと申傳え侍るなり
06. 暫時ハ瀧にこもるや夏の初
07.那須の黒はねと云所に知人あれハ是より
08.<野越にかゝりて>直道を行んとす遥に一村を見かけて行に
09.雨降日暮る農夫の家に一夜をかりて
10.明れハ又野中を行そこに野飼の馬あり草刈
11.おのこになけきよれハ野夫といへともさすかに
12.情しらぬにハあらすいかゝすへきやされとも
13.此野ハ縦横にわかれてうゐ/\しき旅人の道ふミ
14.たかえんあやしう侍れハ此馬のとゝまる所にて
15.<馬を>返し給へとかし侍ぬちいさきものふたり馬の
16.あとしたひてはしるひとりハ小姫にて
17.名をかさねと云聞なれぬ名のやさし<かり>けれは
18. かさねとハ八重撫子の名なるへし 曽良
注:
04<入>脱字を補う
08<野越にかゝりて>脱字を補う
15<馬を>脱字を補う
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略語記号:
(版):明和版 おくのほそ道
(海):海の見える杜美術館蔵
(京):京都国立博物館蔵
(山):山形美術館蔵
(逸):逸翁美術館蔵
版本に対して異同の色分け
黄色:漢字vsかな 橙色:送り仮名 水色:異体字 水色:別字 赤色:誤字・脱字・衍字
(異体字に関して一つの目安とお考え下さい)
01
(版).力ありてきこゆ
(海).力ありて聞・ゆ
(京).力ありて聞・ゆ
(山).力ありて聞・ゆ
(逸).力ありて聞・ゆ
02
(版).廿餘丁山を登つて瀧有岩洞の頂より飛流 06a.06[山を][を]明和版欠損
(海).廿餘丁山を登・て滝有岩洞の頂より飛流
(京).廿餘丁山を登・て瀧有岩洞の頂より飛流
(山).廿余町山を登・て滝有岩洞の頂より飛流
(逸).廿余丁山を登・て瀧有岩洞の頂より飛流
03
(版).して百尺千岩の碧潭に落たり岩窟に
(海).して百尺千岩の碧潭に落たり岩窟に
(京).して百尺千岩の碧潭に落たり岩窟に
(山).して百尺千岩の碧潭に落たり岩窟に
(逸).して百尺千岩の碧潭に落たり岩窟に
04
(版).身をひそめ入て滝の裏よりミれハうらみの 06b
(海).身をひそめ入て瀧の裏よりミれハうらミの
(京).身をひそめ・て滝の裏よりミれはうらミの
(山).身をひそめ入て瀧の裏よりミれハうらみの
(逸).身をひそめ入て滝の裏よりみれハうらみの
05
(版).瀧・と申傳え侍る也・
(海).滝・と申傳え侍るなり
(京).たきと申傳え侍るなり
(山).たきと申傳え侍るなり
(逸).たきと申傳え侍・也・
06
(版). 暫時 ハ瀧に籠・るや夏の初
(海). 暫時 ハ滝にこもるや夏の初
(京). 暫時 ハ瀧にこもるや夏の初
(山). しはらくハ滝にこもるや夏の初
(逸). しはらくハ瀧にこもるや夏の初
07
(版).那須の黒はねと云・所・・に知・人あれハ是より
(海).那須の黒羽・といふところに知・人あれハ是より
(京).那須の黒はねと云・所・・に知・人あれハ是より
(山).那須の黒はねと云・所・・にしる人あれハ是より
(逸).那須の黒はねと云・ところに知・人あれハ是より
08
(版).野越にかゝりて直道をゆかんとす遙に一村を見かけて行に
(海).野越にかゝりて直道をゆかんとす遥に一村を見かけて行に
(京).・・・・・・・直道を行・んとす遥に一村を見かけて行に
(山).野越にかゝりて直道をゆかんとす遥に一村を見かけて行に
(逸).野越にかゝりて直道を行・んとす遥に一村を見かけて行に
09
(版).雨降日暮る農夫の家に一夜をかりて
(海).雨降日暮る農夫の家に一夜をかりて
(京).雨降日暮る農夫の家に一夜をかりて
(山).雨降日暮る農夫の家に一夜をかりて
(逸).雨降日暮る農夫の家に一夜をかりて
10
(版).明れハ又野中を行そこに野飼の馬あり草刈 07a
(海).明れは又野中を行そこに野飼の馬あり草刈
(京).明れハ又野中を行そこに野飼の馬あり草刈
(山).明れハ又野中を行そこに野飼の馬あり草刈
(逸).明れハ又野中を行そこに野飼の馬有・草刈
11
(版).おのこになけきよれハ野夫といへともさすかに
(海).おのこになけきよれハ野夫といへともさすかに
(京).おのこになけきよれハ野夫といへともさすかに
(山).おのこになけきよれハ野夫といへともさすかに [よれハ][?れハ][?]消し右に[よ]
(逸).おのこになけきよれハ野夫といへともさすかに
12
(版).情しらぬにハ非・すいかゝすへきやされとも 07a.03[非す]明和版文字欠損
(海).情しらぬにハあらすいかゝすへきやされとも
(京).情しらぬにハあらすいかゝすへきやされとも
(山).情しらぬにハあらすいかゝすへきやされとも
(逸).情しらぬにハあらすいかゝすへきやされとも
13
(版).此野ハ縦横にわかれてうゐ/\敷・旅人の道ふミ
(海).此野ハ縦横にわかれてうゐ/\しき旅人の道ふみ
(京).此野ハ縦横にわかれてうゐ/\しき旅人の道ふミ
(山).此野ハ縦横にわかれてうゐ/\しき旅人の道ふミ
(逸).此野ハ縦横にわかれてうゐ/\しき旅人の道ふミ
14
(版).たかえんあやしう侍れハ此馬のとゝまる所・・にて
(海).たかえんあやしう侍れハ此馬のとゝまるところにて
(京).たかえんあやしう侍れハ此馬のとゝまる所・・にて
(山).たかえんあやしう侍れハ此馬のとゝまるところにて
(逸).たかえんあやしう侍れハ此馬のとゝまるところにて
15
(版).馬を返し給へとかし侍ぬちいさき者・ふたり馬の
(海).馬を返し給へとかし侍ぬちいさきものふたり馬の
(京).・・返し給へとかし侍ぬちいさきものふたり馬の
(山).馬を返し給へとかし侍ぬちいさき者・ふたり馬の
(逸).馬を返し給へとかし侍ぬちいさきものふたり馬の
16
(版).跡・したひてはしる獨・・ハ小姫にて 07b
(海).跡・したひてはしる獨・・ハ小姫にて
(京).あとしたひてはしるひとりハ小姫にて
(山).跡・したひてはしる獨・・ハ小姫にて
(逸).あとしたひてはしるひとりハ小姫にて
17
(版).名をかさねと云・聞なれぬ名のやさしかりけれは
(海).名をかさねといふ聞なれぬ名のやさしかりけれは
(京).名をかさねと云・聞なれぬ名のやさし・・けれは
(山).名をかさねと云・聞なれぬ名のやさし・・けれハ
(逸).名をかさねと云・聞なれぬ名のやさし・・けれは
18
(版). かさねとハ八重撫子・・の名成・へし 曽良
(海). かさねとハ八重撫子・・の名成・へし 曽良
(京). かさねとハ八重撫子・・の名なるへし 曽良
(山). かさねとハ八重なてしこの名成・へし 曽良
(逸). かさねとハ八重なてしこの名なるへし 曽良
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