おくのほそ道の原書(素龍筆 井筒屋本)や与謝蕪村の奥の細道を気軽に読んでみようというブログです。
変体仮名もくずし字もどんどん読もう。
芭蕉自筆本・曽良本・柿衛本・早大本・昔安本などの違いも見ていきたいと思います。
Let's read OKU-NO HOSOMICHI in the original.
与謝蕪村 奥の細道 京都国立博物館蔵 上巻 05
01.卅日日光山の梺に泊るあるし<の>云けるやう
02.我名を佛五左衛門と云萬正直を旨と
03.する故に人かくハ申侍まゝ一夜の草のまくらも
04.打とけて休ミ給へと云いかなる佛の濁世塵土に
05.示現してかゝる桑門の乞食順礼ことき<の>人を
06.たすけ給ふにやとあるしのなす事に心をとゝめて
07.ミるに唯無智無分別にして正直偏固の
08.ものなり剛毅木訥の仁にちかきたくひ氣稟
09.の清質尤尊へし
10.卯月朔日御山に詣拝す往昔此御山を二荒 [注:(詣拝す),(詣す)右に(拝)挿入]
11.山と書しを空海大師開基の時日光と
12.改給ふ千歳未来をさとり給ふにや今此
13.御光一天にかゝやきて恩澤八荒にあふれ
14.四民安堵の栖穏なり猶憚多くて筆をさし置ぬ
15. あなたうと青葉若葉の日に光
16.黒髪山ハ霞かゝりて雪いまた白し
17. 剃すてゝ黒髪山に衣更 曽良
18.曽良ハ河合氏にして惣五郎と云り芭蕉の下葉
19.に軒をならへて予か薪水の労をたすく
20.このたひ松しま象瀉の眺ともにせん事を
21.悦ひ且ハ羈旅の難をいたハらんと旅立暁
22.髪を剃て黒染にさまをかえ惣五を改て [黒染][墨染]の誤り
23.宗悟とす仍て黒髪山の句有衣更の二字
注:
01<の> 05<の>脱字を補う
15.(あなたうと) 芭蕉自筆本・曽良本訂正前に同じ。その他の諸本では[あらたうと」となっています。
22.(黒染) (墨染)の誤り
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略語記号:
(版):明和版 おくのほそ道
(海):海の見える杜美術館蔵
(京):京都国立博物館蔵
(山):山形美術館蔵
(逸):逸翁美術館蔵
版本に対して異同の色分け
黄色:漢字vsかな 橙色:送り仮名 水色:異体字 水色:別字 赤色:誤字・脱字・衍字
(異体字に関して一つの目安とお考え下さい)
01
(版).卅日日光山の梺に泊るあるしの云けるやう
(海).卅日日光山の梺に泊るあるし・云けるやう
(京).卅日日光山の梺に泊るあるし・云けるやう
(山).卅日日光山の梺に泊るあるしの云けるやう
(逸).卅日日光山の梺に泊るあるしの云けるやう
02
(版).我名を佛五左衛門と云萬正直を旨と 04a.08[萬]明和版文字欠損
(海).我名を佛五左衛門と云萬正直を旨と
(京).我名を佛五左衛門と云萬正直を旨と
(山).我名を佛五左衛門と云萬正直を旨と
(逸).我名を佛五左衛門と云萬正直を旨と
03
(版).する故に人かくハ申侍・まゝ一夜の草の枕・・も 04b
(海).する故に人かくハ申侍るまゝ一夜の草の枕・・も
(京).する故に人かくハ申侍・まゝ一夜の草のまくらも
(山).する故に人かくハ申侍・まゝ一夜の艸のまくらも
(逸).する故に人かくハ申侍るまゝ一夜の草のまくらも
04
(版).打・解・て休ミ給へと云・いかなる仏の濁世塵土に
(海).うちとけて休ミ給へと云・いかなる仏の濁世塵土に
(京).打・とけて休ミ給へと云・いかなる佛の濁世塵土に
(山).打・解・て休み給へといふいかなる佛の濁世塵土に
(逸).打・とけて休・給へと云・いかなる仏の濁世塵土に
05
(版).示現してかゝる桑門の乞食順礼こときの人を
(海).示現してかゝる桑門の乞食順礼こときの人を
(京).示現してかゝる桑門の乞食順礼ことき・人を
(山).示現してかゝる桑門の乞食順礼こときの人を
(逸).示現してかゝる桑門の乞食順礼こときの人を
06
(版).たすけ・給ふにやとあるしのなす事・に心をとゝめて
(海).たすけ・給ふにやとあるしのなす事・に心をとゝめて
(京).たすけ・給ふにやとあるしのなす事・に心をとゝめて
(山).たすけ・給ふにやとあるしのなすことに心をとゝめて
(逸).たすけて給ふにやとあるしのなすことに心をとゝめて
07
(版).みるに唯・無智無分別にして正直偏固の
(海).みるに唯・無智無分別にして正直偏固の
(京).ミるに唯・無智無分別にして正直偏固の
(山).見るにたゝ無智無分別にして正直偏固の
(逸).みるに唯・無智無分別にして正直偏固の [無分別][分][別]に見える
08
(版).者・也・剛毅木訥の仁に近・きたくひ気稟
(海).者・也・剛毅木訥の仁・ちかきたくひ気稟
(京).ものなり剛毅木訥の仁にちかきたくひ氣稟
(山).者・也・剛毅木訥の仁にちかきたくひ氣稟
(逸).ものなり剛毅木訥の仁にちかきたくひ気稟
09
(版).の清質尤尊ふへし 05a
(海).の清質尤尊ふへし
(京).の清質尤尊・へし
(山).の清質尤尊ふへし
(逸).の清質尤尊ふへし
10
(版).卯月朔日御山に詣拝す往昔此御山を二荒
(海).卯月朔日御山に詣拝す往昔此御山を二荒
(京).卯月朔日御山に詣拝す往昔此御山を二荒 [注:(詣拝す),(詣す)右に(拝)挿入]
(山).卯月朔日御山に詣拝す往昔此御山を二荒
(逸).卯月朔日御山に詣拝す往昔此御山を二荒
11
(版).山と書しを空海大師開基の時日光と
(海).山と書しを空海大師開基の時日光と
(京).山と書しを空海大師開基の時日光と
(山).山と書しを空海大師開基の時日光と
(逸).山と書しを空海大師開基の時日光と
12
(版).改給ふ千歳未来をさとり給ふにや今此
(海).改給ふ千歳未来をさとり給ふにや今此
(京).改給ふ千歳未来をさとり給ふにや今此
(山).改給ふ千歳未来をさとり給ふにや今此
(逸).改給ふ千歳未来をさとり給ふにや今此
13
(版).御光一天にかゝやきて恩沢八荒にあふれ
(海).御光一天にかゝやきて恩沢八荒にあふれ
(京).御光一天にかゝやきて恩澤八荒にあふれ
(山).御光一天にかゝやきて恩澤八荒にあふれ
(逸).御光一天にかゝやきて恩沢八荒にあふれ
14
(版).四民安堵の栖穏・・・なり猶・憚・・・多くて筆をさし置ぬ 05a.08[多くて][て]明和版文字欠損
(海).四民安堵の栖穏・・・也・猶・憚・・り多くて筆をさし置ぬ
(京).四民安堵の栖穏・・・なり猶・憚・・・多くて筆をさし置ぬ
(山).四民安堵の栖穏・・・なり猶・憚・・・多くて筆をさし置ぬ
(逸).四民安堵の栖おたやかなりなをはゝかり多くて筆をさし置ぬ
15
(版). あらたうと青葉若葉の日の光 05b
(海). あら尊・と青葉若葉の日の光
(京). あなたうと青葉若葉の日に光
(山). あなたうと青葉若葉の日の光
(逸). あらたうと青葉若葉の日の光
16
(版).黒髪・山ハ霞かゝりて雪いまた白し
(海).黒髪・山ハ霞かゝりて雪いまた白し
(京).黒髪・山ハ霞かゝりて雪いまた白し
(山).黒髪・山ハ霞かゝりて雪いまた白し
(逸).黒かみ山ハ霞かゝりて雪いまた白し
17
(版). 剃捨・て黒・髪・山に衣更 曽良
(海). 剃すてゝ黒・髪・山に衣更 曽良
(京). 剃すてゝ黒・髪・山に衣更 曽良
(山). 剃捨・て黒・髪・山に衣更 曽良
(逸). 剃すてゝくろかみ山に更衣 曽良
18
(版).曽良ハ河合氏にして惣五郎と云へり芭蕉の下葉
(海).曽良ハ河合氏にして惣五郎といへり芭蕉の下葉
(京).曽良ハ河合氏にして惣五郎と云・り芭蕉の下葉
(山).曽良ハ河井氏にして惣五郎と云・り芭蕉の下葉
(逸).曽良ハ河合氏にして惣五郎と云・り芭蕉の下葉
19
(版).に軒をならへて予か薪水の労をたすく
(海).に軒をならへ・予か薪水の労をたすく
(京).に軒をならへて予か薪水の労をたすく
(山).に軒をならへて予か薪水の労をたすく
(逸).に軒をならへて予か薪水の労をたすく
20
(版).このたひ松しま象・泻・の眺共・にせん事・を
(海).このたひ松嶋・象・瀉・の眺共・にせんことを
(京).このたひ松しま象・瀉・の眺ともにせん事・を
(山).このたひ松しまきさかたの眺ともにせん事・を
(逸).このたひ松しまきさかたの眺共・にせん事・を
21
(版).悦ひ且ハ羈旅の難をいたハらんと旅立・暁 06a
(海).悦ひ且ハ羈旅の難をいたハらんと旅立・暁
(京).悦ひ且ハ羈旅の難をいたハらんと旅立・暁
(山).悦ひ且ハ羈旅の難をいたハらんと旅たつ暁
(逸).悦ひ且ハ羈旅の難をいたハらんと旅立・暁
22
(版).髪を剃て墨染にさまをかえ惣五を改・・・て
(海).髪を剃て墨染にさまをかえ惣五をあらためて
(京).髪を剃て黒染にさまをかえ惣五を改・・・て [黒]判読難 [里][黒][墨]参照
(山).髮を剃て墨染にさまをかえ惣五を改・・・て
(逸).髪を剃て墨染にさまをかえ惣五を改・・・て
23
(版).宗悟とす仍て墨髪・山の句有衣更の二字 注:[墨髮]は[黒髪]の誤り
(海).宗悟とす仍て墨髪・山の句有衣更の二字
(京).宗悟とす仍て黒髪・山の句有衣更の二字
(山).宗悟とす仍て黒髮・山の句有衣更の二字
(逸).宗悟とす仍て黒かみ山の句有衣更の二字 [黒かみ][黒][里]に近い
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与謝蕪村 奥の細道 上巻
与謝蕪村 奥の細道 下巻
12-13. 14. 15. 16-17. 18. 1.序章 001 002 003.03
2.旅立 003.03 004
3.草加 005 006.05
4.室の八島 006.06 007.05
5.仏五左衛門 007.06 008 009.01
6.日光 009.02 010 011 012.03
7.那須 012.04 013 014.06
8.黒羽 014.07 015 016.07
9.雲巌寺 016.08 017 018 19.07
10.殺生石・遊行柳 19.08 020 021.02
11.白河の関 021.03 022.06
12.須賀川 022.07 023 024 025.05
13.あさか山 025.06 026.06
14.しのぶの里 026.06 027.07
15.佐藤庄司が旧跡 027.08 028 029.07
16.飯塚 029.07 030 031.08
17.笠島 031.08 032 033.03
18.武隈 033.04 034 035.01