01.秋風を耳に残し紅葉を俤にして
02.青葉の梢猶あハれなりうの花の白妙に
03.茨の花の咲そひて雪にもこゆる心地そ
04.する古人冠を正し衣装も(を)改し [衣装も],[も]見せ消ち右に[を]
05.事なと清輔の筆にもとゝめ置れしとそ
06. 卯の花をかさしに関のはれ着哉 曽良
07.とかくして越行まゝにあふくま河をわたる
08.左に會津根高く右に岩城相馬三春
09.の庄常陸下野の地をさかひて山つらなる
10.かけ沼と云所を行にけふハ空曇りて
11.物影うつらすすか川の駅に等窮と
12.いふものを尋て四五日とゝめらる先白河
13.の関いかにこえつるやと問長途のくるしみ
14.身心つかれ且は風景に魂うハゝれ
15.懐旧に腸をたちてはか/\しうおもひめくらさす
16. 風流のはしめやおくの田植うた
17.無下にこえんもさすかにとかたれは脇㐧三
18.とつけて三巻となしぬ
19.此宿のかたはらに大キなる栗の木陰を
20.たのミて世をいとふ僧有橡ひろふ太山も
21.かくやと閒に覚られてものに書付侍る其詞 [覚えれて]に見える
22. 栗といふ文字ハ西の木と書て西方
23. 浄土に便ありと行基菩薩の一生
24. 杖にも柱にも此木を用ひ給ふとかや
25. 世の人の見付ぬ花や軒の栗
注:
18.(つけて), 蕪村(山):(付て),(
蕪村以外では全て(つゝけて)
与謝蕪村 奥の細道 京都国立博物館蔵 上巻 12
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略語記号:
(版):明和版 おくのほそ道
(海):海の見える杜美術館蔵
(京):京都国立博物館蔵
(山):山形美術館蔵
(逸):逸翁美術館蔵
版本に対して異同の色分け
黄色:漢字vsかな 橙色:送り仮名 水色:異体字 水色:別字 赤色:誤字・脱字・衍字
(異字に関しては一つの目安とお考え下さい)
(海):海の見える杜美術館蔵
(京):京都国立博物館蔵
(山):山形美術館蔵
(逸):逸翁美術館蔵
版本に対して異同の色分け
黄色:漢字vsかな 橙色:送り仮名 水色:異体字 水色:別字 赤色:誤字・脱字・衍字
(異字に関しては一つの目安とお考え下さい)
01
(版).秋風を耳に残し紅葉を俤にして 11a.07
(海).秋風を耳に残し紅葉を俤にして
(京).秋風を耳に残し紅葉を俤にして
(山).秋風を耳に残し紅葉を俤にして
(逸).秋風を耳に残し紅葉を俤にして
02
(版).青葉の梢猶・あはれ也・卯の花・の白妙に 11b
(海).青葉の梢猶・あはれ也・うのはなの白妙に
(京).青葉の梢猶・あハれなりうの花・の白妙に
(山).青葉の梢なをあはれ也・うの花・・白妙に
(逸).青葉の梢なをあハれ也・うの花・の白妙に
03
(版).茨の花の咲そひて雪にもこゆる心・地そ
(海).茨の花の咲そひて雪にもこゆるこゝ地そ
(京).茨の花の咲そひて雪にもこゆる心・地そ
(山).茨の花の咲そひて雪にもこゆる心・地そ
(逸).茨の花の咲そひて雪にもこゆるこゝ地そ
04
(版).する古人冠を正し衣装を改・・・し
(海).する古人冠を正し衣装をあらためし
(京).する古人冠を正し衣装を改・・・し [衣装も],[も]見せ消ち右に[を]
(山).する古人冠を正し衣装をあらためし
(逸).する古人冠を正し衣装を改・・・し
05
(版).事なと清輔の筆にもとゝめ置れしとそ
(海).事なと清輔の筆にもとゝめ置れしとそ
(京).事なと清輔の筆にもとゝめ置れしとそ
(山).事なと清輔の筆にもとゝめ置れしとそ
(逸).事なと清輔の筆にもとゝめ置れしとそ
06
(版). 卯の花をかさしに関の晴・着かな 曽良
(海). うの花をかさしに関の晴・着哉・ 曽良
(京). 卯の花をかさしに関のはれ着哉・ 曽良
(山). 卯の花をかさしに関のはれ着かな 曽良
(逸). うの花をかさしに関のはれ着哉・ 曽良
07
(版).とかくして越行まゝにあふくま川を渡・る
(海).とかくして越行まゝにあふくま河を渡・る
(京).とかくして越行まゝにあふくま河をわたる
(山).とかくして越行まゝにあふくま川をわたる
(逸).とかくして越行まゝにあふくま川をわたる
08
(版).左に会津根高く右に岩城相馬三春 12a
(海).左に會津根高く右に岩城相馬三春
(京).左に會津根高く右に岩城相馬三春
(山).左に會津根高く右に岩城相馬三春
(逸).左に會津根高く右に岩城相馬三春
09
(版).の庄常陸下野の地をさかひて山つらなる
(海).の庄常陸下野の地をさかひて山つらなる
(京).の庄常陸下野の地をさかひて山つらなる
(山).の庄常陸下野の地をさかひて山つらなる
(逸).の庄常陸下野の地をさかひて山つらなる
10
(版).かけ沼と云・所・・を行に今日ハ空曇・て
(海).かけ沼といふところを行にけふハ空曇・て
(京).かけ沼と云・所・・を行にけふハ空曇りて
(山).かけ沼といふ所・・を行にけふハ空曇りて
(逸).かけ沼と云・所・・を行にけふハ空曇・て
11
(版).物影うつらすすか川の驛に等窮と
(海).物影うつらすすか河の駅に等窮と
(京).物影うつらすすか川の駅に等窮と
(山).物影うつらすすか河の驛に等窮と
(逸).物影うつらすすか川の駅に等窮と
12
(版).いふものを尋て四五日とゝめらる先白河
(海).いふものを尋て四五日とゝめらる先白河
(京).いふものを尋て四五日とゝめらる先白河
(山).いふものを尋て四五日とゝめらる先白河
(逸).いふものを尋て四五日とゝめらる先白河
13
(版).の関いかにこえつるやと問長途のくるしみ
(海).の関いかにこえつるやと問長途のくるしみ
(京).の関いかにこえつるやと問長途のくるしみ
(山).の関いかにこえつるやと問長途のくるしみ
(逸).の関いかにこえつるやと問長途のくるしミ
14
(版).身心つかれ且ハ風景に魂うハゝれ
(海).身心つかれ且ハ風景に魂うハゝれ
(京).身心つかれ且は風景に魂うハゝれ
(山).身心つかれ且ハ風景に魂うハゝれ
(逸).身心つかれ且ハ風景に魂うハゝれ
15
(版).懐旧に腸を断・てはか/\しう思・ひめくらさす 12b
(海).懐旧に腸を断・てはか/\しうおもひめくらさす
(京).懐旧に腸をたちてはか/\しうおもひめくらさす
(山).懐旧に腸を断・てはか/\しうおもひめくらさす
(逸).懐旧に腸をたちてはか/\しうおもひめくらさす
16
(版). 風流の初・・やおくの田植うた
(海). 風流のはしめやおくの田植うた
(京). 風流のはしめやおくの田植うた
(山). 風流のはしめやおくの田植うた
(逸). 風流のはしめやおくの田植うた
17
(版).無下にこえんもさすかにと語・れは脇㐧三
(海).無下にこえんもさすかにと語・れは脇㐧三
(京).無下にこえんもさすかにとかたれは脇㐧三
(山).無下にこえんもさすかにとかたれは脇㐧三
(逸).無下にこえんもさすかにとかたれは脇㐧三
18
(版).とつゝけて三巻となしぬ
(海).とつゝけて三巻となしぬ
(京).とつ・けて三巻となしぬ
(山).とツゝケて三巻となしぬ [ツゝケて][付て][付]消し右に[ツゝケ]添える
(逸).とつゝけて三巻となしぬ
19
(版).此宿の傍・・・に大きなる栗の木陰を
(海).此宿の傍・・・に大きなる栗の木陰を
(京).此宿のかたはらに大キなる栗の木陰を
(山).此宿の傍・・・に大・なる栗の木陰を
(逸).此宿のかたはらに大・なる栗の木陰を
20
(版).たのミて世をいとふ僧有橡ひろふ太山も
(海).たのみて世をいとふ僧有橡ひろふ太山も
(京).たのミて世をいとふ僧有橡ひろふ太山も
(山).たのみて世をいとふ僧有橡ひろふ太山も
(逸).たのミて世をいとふ僧有橡ひろふ太山も
21
(版).かくやと閒に覚・られてものに書付侍る其詞
(海).かくやと閒に覚・られてものに書付侍る其詞
(京).かくやと閒に覚・られてものに書付侍る其詞 [覚えれて]に見える
(山).かくやと閒に覚・・れてものに書付侍る其詞
(逸).かくやと閒に覚えられてものに書付侍る其詞
22
(版). 栗といふ文字ハ西の木と書て西方 13a
(海). 栗といふ文字ハ西の木と書て西方
(京). 栗といふ文字ハ西の木と書て西方
(山). 栗といふ文字ハ西の木と書て西方
(逸). 栗といふ文字ハ西の木と書て西方 (版)(海)(逸)は同じ行文字数
23
(版). 浄土に便ありと行基菩薩の一生
(海). 浄土に便ありと行基菩薩の一生
(京). 浄土に便ありと行基菩薩の一生
(山). 浄土に便ありと行基菩薩の一生
(逸). 浄土に便ありと行基菩薩の一生
24
(版). 杖にも柱にも此木を用・給ふとかや
(海). 杖にも柱にも此木を用・給ふとかや
(京). 杖にも柱にも此木を用ひ給ふとかや
(山). 杖にも柱にも此木を用ひ給ふとかや
(逸). 杖にも柱にも此木を用・給ふとかや
25
(版). 世の人の見付ぬ花や軒の栗
(海). 世の人の見付ぬ花や軒の栗
(京). 世の人の見付ぬ花や軒の栗
(山). 世の人の見付ぬ花や軒の栗
(逸). 世の人の見付ぬ花や軒の栗
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