松島図誌は、仙台藩の儒者 桜田虎門が著述し、東沢が絵を担当した松島の地誌です。寛政4(1821)に出版され、その後、天保2(1831)、明治21年7月3日(1888)と重版されています。
次は、松島の真景図です。
松島図誌 鼓缶子(桜田虎門) 述 東澤 圖 伊勢屋半右衛門 文政四年
国文研 03, 04, 05
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本誌ではページごとに分割されているのでわかりにくいのですが、ページを繋ぎ合わせてみると、六曲の屏風のような松島のパノラマが広がります。
向かって左から、冨山・五大堂・松島港・観瀾亭・渡月橋・見仏堂などが描かれています。
そして、この真景図は 松島勝譜 でトレースされています。
松島勝譜 校訂:大槻復軒 編纂:作並鳳泉 筆者:原田鼎洲
画:瀧和亭 荒木寛畒 川端玉章 出版:明治21年7月28日
松島真景 宮城県図書館 09, 10, 11, 12
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ぱっと見た感じでは両者は、全く同じように見えますが、細かい部分は違っています。おそらく松島勝譜は、松島図誌を被せ彫りしたのではないかと思います。
向かって一番右側と、4枚目に「川端玉章」の落款が、5枚に「荒木寛畒」の落款があります。
寛畒・落款/玉章・寫・落款(端玉章印)(回文印)/玉章・落款
両者ともに高名な画家なので、このようなトレースをするとは思えません。事情を知らずに名前を貸したのかもしれません。