与謝蕪村 奥の細道 京都国立博物館蔵 上巻 16


01.鐙摺白石の城を過かさしまの郡に入れハ
02.藤中将實方の塚ハいつくのほとならんと人に
03.とへハ是より遥右にミゆる山際の里をミのわ
04.笠嶋と云道祖神の社かた見の薄今に
05.ありと教ゆこのころの五月雨に道いとあしく
06.身つかれ侍れハよそなから眺やりて過るに
07.みのわかさしまもさみたれの折にふれたりと
08. かさしまハいつこさ月のぬかり道
09.岩沼にやとる
10.武隈の松にこそめ覚るこゝちハすれ根ハ土際
11.より二木にわかれて昔のすかたうしなハすと
12.しらる先能因法しおもひ出往昔むつのかミ
13.にて下りし人此木を伐て名とり川の橋杭に
14.せられたる事なとあれはにや松ハ此たひ
15.あともなしとハ詠たり代々あるハ伐あるひハ
16.植継なとせしと聞に今将千歳のかたち
17.とゝのほひてめてたき松のけしきになん侍し
18. たけくまの松みせ申せ遅さくら 挙白
19. と云ものゝ餞別したりけれハ
20. さくらより松ハ二木を三月越シ
21.なとり川を渡て仙臺に入あやめふく日也
22.旅宿をもとめて四五日逗留すこゝに画工加右衛門と
23.云ものありいさゝか心あるものと聞て知人になる
24.此ものとしころさたかならぬ名ところを
25.考置侍れはとて一日案内す宮城野ゝ


注:
17(とゝのほひて) 版本などの西村本系以外では (とゝのひて)

18(遅さくら 挙白) 諸本では、(遅さくら挙白)となっています。しかし底本のこの部分は一文字分空いているので故意に(と)を削った可能性も考えられます。

23(知人になる) 版本(知る人になる)  柿衛・早大・昔安(知人になる)

---------------------------------------------------------

略語記号: 

(版):明和版 おくのほそ道
(海):海の見える杜美術館蔵
(京):京都国立博物館蔵
(山):山形美術館蔵
(逸):逸翁美術館蔵

版本に対して異同の色分け
黄色:漢字vsかな 橙色:送り仮名 水色異体字 水色:別字 赤色:誤字・脱字・衍字
(異体字に関して一つの目安とお考え下さい)

01
(版).鐙摺白石の城を過笠・嶋・の郡に入れハ  16a.08 16b.01(笠嶋の)
(海).鐙摺白石・・を過笠・嶋・の郡に入れハ
(京).鐙摺白石の城を過かさしまの郡に入れハ
(山).鐙摺白石の城を過笠・嶋・の郡に入れ
(逸).鐙摺白石の城を過笠・嶋・の郡に入れ
02
(版).藤中将実方の塚ハいつくのほとならんと人に
(海).藤中将方の塚ハいつくのほとならんと人に
(京).藤中将方の塚ハいつくのほとならんと人に
(山).藤中将方の塚ハいつくのほとならんと人に
(逸).藤中将方の塚ハいつくのほとならむと人に
03
(版).とへは是より遥・・右に見ゆる山際の里をミのわ
(海).とへは是より遥・・右にゆる山際の里をのわ
(京).とへハ是より遥・・右にゆる山際の里をミのわ
(山).とへは是より遥・・右にゆる山際の里をミのわ
(逸).とへは是よりはるか右に見ゆる山際の里をのわ
04
(版).笠嶋と云・道祖神の社かた見の薄・・今に・
(海).笠嶋と云・道祖神の社かた見の薄・・今に・ [今に][に][]に近い
(京).笠嶋と云・道祖神の社かた見の薄・・今に・
(山).笠嶋といふ道祖神の社かた見の薄・・今に・
(逸).笠嶋と云・道祖神の社かたすゝきなを
05
(版).ありと教ゆ此・比・の五月雨・に道いとあしく
(海).ありと教ゆ此・比・の五月雨・に道いとあしく
(京).ありと教ゆこのころの五月雨・に道いとあしく
(山).ありと教ゆ此・ころの五月雨・に道いとあしく
(逸).ありと教ゆこのころさミたれに道いとあしく
06
(版).身つかれ侍れはよそなから眺やりて過るに
(海).身つかれ侍れよそなから眺やりて過るに
(京).身つかれ侍れよそなから眺やりて過るに
(山).身つかれ侍れよそなから眺やりて過るに
(逸).身つかれ侍れはよそなから眺やりて過るに
07
(版).簑・輪笠・嶋・も五月雨・の折・にふれたりと 17a
(海).簑・輪笠・嶋・も五月雨・の折・にふれたりと
(京).みのわかさしまさみたれの折・にふれたりと
(山).簑・輪笠・嶋・も五月雨・の折・にふれたりと [五月雨の][五月の][雨]左側に挿入
(逸).簑・輪笠・嶋・も五月雨・のおりにふれたりと [おりに][り]判読難
08
(版). 笠・嶋・ハいつこさ月・のぬかり道
(海). 笠・嶋・ハいつこさ月・のぬかり道
(京). かさしまハいつこさ月・のぬかり道
(山). 笠・嶋・ハいつこさ月・のぬかり道
(逸). かさしまハいつこさつきのぬかり道
09
(版).岩沼に宿・る
(海).岩沼に宿・る
(京).岩沼にやと
(山).・・・・・・
(逸).岩沼にやと
10
(版).武隈の松にこそめ覚る心・地ハすれ根ハ土際
(海).武隈の松にこそめ覚る心・地ハすれ根ハ土際
(京).武隈の松にこそめ覚るこゝちハすれ根ハ土際
(山).武隈の松にこそめ覚るこゝちハすれ根ハ土際
(逸).武隈の松にこそめ覚るこゝちハすれハ土際
11
(版).より二木にわかれて昔の姿・・うしなハすと
(海).より二木にわかれて昔のすかたうしなハすと
(京).より二木にわかれて昔のすかたうしなハすと
(山).より二木にわかれて昔のすかたうしなハすと
(逸).より二木にわかれて昔のすかたうしなハすと
12
(版).しらる先能因法師思・ひ出往昔むつのかミ
(海).しらる先能因法思・ひ出往昔むつのか
(京).しらる先能因法しおもひ出往昔むつのかミ
(山).しらる先能因法師おもひ出往昔むつのかミ
(逸).しらる先能因法師おもひ出往昔むつのか
13
(版).にて下りし人此・木を伐て名取・川の橋杭に 17b
(海).にて下りし人此・木を伐て名とりの橋杭に
(京).にて下りし人此・木を伐て名とり川の橋杭に
(山).にて下りし人此・木を伐て名取・橋杭に
(逸).にて下りし人この木を伐て名取・川の橋杭に
14
(版).せられたる事・なとあれはにや松・ハ此・たひ
(海).せられたる事・なとあれはにや松・ハ此・たひ
(京).せられたる事・なとあれはにや松・ハ此・たひ
(山).せられたる事・なとあれはにや松・ハ此・たひ
(逸).せられたること・・あれはにやまつこのたひ
15
(版).跡・もなしとハ詠・たり代々あるハ伐あるひハ
(海).跡・もなしとハ詠・たり代々あるハ伐或・・
(京).あともなしとハ詠・たり代々あるハ伐あるひハ
(山).跡・もなしとハ詠・たり代々あるハ伐或・・
(逸).あともなしとハよミたり代々あるハ伐或・・
16
(版).植継なとせしと聞に今将千歳のかたち
(海).植継なとせしと聞に今将千歳のかたち
(京).植継なとせしと聞に今将千歳のかたち
(山).植継なとせしと聞に今将千歳のかたち
(逸).植継なとせしと聞に今将千歳のかたち
17
(版).とゝのほひてめてたき松のけしきになん侍し
(海).とゝのほひてめてたき松のけしきになん侍し
(京).とゝのほひてめてたき松のけしきになん侍し
(山).とゝのほひてめてたき松のけしきになん侍し
(逸).とゝのほひてめてたき松のけしきになん侍し
18
(版). 武・隈・の松みせ申せ遅桜・・と挙白
(海). 武・隈・の松みせ申せ遅さくらと挙白
(京). たけくまの松みせ申せ遅さくら挙白
(山). 武・くまの松みせ申せ遅さくらと挙白
(逸). たけくまの松見せ申せ遅さくらと挙白
19
(版). と云・ものゝ餞別したりけれハ
(海). といふものゝ餞別したりけれハ
(京). と云・ものゝ餞別したりけれハ
(山). と云ふ者・餞別したりけれ
(逸). といふものゝ餞別したりけれ
20
(版). 桜・・より松ハ二木を三月越シ 18a
(海). さくらより松ハ二木を三月越シ
(京). さくらより松ハ二木を三月越シ
(山). さくらより松ハ二木を三月越
(逸). さくらより松ハ二木を三月越
21
(版).名取・川を渡・・て仙臺に入あやめふく日也
(海).名取・川を渡・・て仙臺に入あやめふく日也
(京).なとり川を渡・・て仙臺に入あやめふく日也
(山).名取・わたりて仙臺に入あやめふく日也
(逸).名取・川をわたりて仙臺に入あやめふく日也
22
(版).旅宿をもとめて四五日逗留す爰・に畫工加右衛門と
(海).旅宿をもとめて四五日逗留すこゝに畫工加右衛門と
(京).旅宿をもとめて四五日逗留すこゝ工加右衛門と
(山).旅宿をもとめて四五日逗留すこゝ工加右衛門と
(逸).旅宿をもとめて四五日逗留すこゝに畫工加右衛門と
23
(版).云・ものあり聊・・・心ある者・と聞て知る人になる
(海).云・者・ありいさゝか心あるものと聞て知る人になる
(京).云・ものありいさゝか心あるものと聞て知人になる
(山).いふもの有・聊・・・心有・ものと聞て知る人になる
(逸).いふもの有・いさゝか有・者・と聞て知人になる
24
(版).この者・年・比・さたかならぬ名ところを
(海).このもの年・ころさたかならぬ名ところを
(京).此・ものとしころさたかならぬ名ところを
(山).この者・年・ころさたかならぬ名ところを
(逸).このものとしころさたかならぬ名ところを
25
(版).考置侍れはとて一日案内す宮城野の
(海).考置侍れはとて一日案内す宮城野の
(京).考置侍れはとて一日案内す宮城野
(山).考置侍れはとて一日案内す宮城野の
(逸).考置侍れはとて一日案内す宮城野の

次のページ.上17.
前のページ.上15. 

与謝蕪村 奥の細道 上巻
与謝蕪村 奥の細道 下巻
12-13. 14. 15. 16-17. 18.


表紙 000 
1.序章 001 002 003.03
2.旅立 003.03 004 
3.草加 005 006.05
4.室の八島 006.06 007.05
5.仏五左衛門 007.06 008 009.01
6.日光 009.02 010 011 012.03
7.那須 012.04 013 014.06
8.黒羽 014.07 015 016.07
9.雲巌寺 016.08 017 018 19.07
10.殺生石・遊行柳 19.08 020 021.02
11.白河の関 021.03 022.06
12.須賀川 022.07 023 024 025.05
13.あさか山 025.06 026.06
14.しのぶの里 026.06 027.07
15.佐藤庄司が旧跡 027.08 028 029.07
16.飯塚 029.07 030 031.08
17.笠島 031.08 032 033.03
18.武隈 033.04 034 035.01
19.宮城野 035.02 036 037.04
20.壺の碑 037.05 038 039 040.03
21.末の松山 040.04 041 042.04
22.塩竈 042.04 043 044.04
23.松島 044.05 045 046 047 048 049.05
24.石巻 049.06 050 051.07
25.平泉 051.08 052
053 054 055.01
26.尿前の関 055.02 056 057 058 059.01
27.尾花沢 059.02 060.03
28.立石寺 060.04 061
29.最上川 062