02.わけて玉藻の前の古墳をとふそれより
03.八幡宮に詣与市扇のまとを射し時
04.別して我國氏神正八まんとちかひしも
05.此神社にて侍ると聞ハ感應殊しきりに
06.覚えらる暮れは桃翠宅に帰る
07.修験光明寺と云有そこにまねかれて
08.行者堂を拝す
09. 夏山に足踏を拝む首途哉
10.當国雲岸寺の奥に佛頂和尚山居の 西村本[山居跡]・柿衛本[山居の跡]
11.跡あり
12. 竪横の五尺にたらぬ艸の庵
13. むすふもくやし雨なかりせハ
14.と松の炭して岩に書付侍りと
15.いつそや聞え給ふ其跡見んと雲岸寺に杖を
16.曳ハ人々すゝんてともにいさなひ若き
17.人おほく道のほとうちさハきておほえす
18.かの梺に到る山ハおくあるけしきにて
19.谷道遥に松杉黒く苔したゝりて
20.卯月の天今なを寒し十景盡る所
21.橋をわたりて山門に入
注:
04.(別して) 西村本・元禄版・寛政版では(別してハ)となっていますが、明和版のみ、(別して・)と(ハ)が欠落しています。蕪村でも(ハ)が欠落しているところから、蕪村が参照した「おくのほそ道」は明和版であるという証拠の一つとなります。
(明和版は、元禄版と本文は同じ版木を使用していますが、摩耗が激しく文字の欠損が多数存在します) 参照サイト
09.(足踏)=鐙(あぶみ) 西村本をはじめ版本すべて(足駄)となっています。また、管見ではその他の諸本すべて(足駄)となっています。
21.(わたりて) 西村本(わたつて) 元禄版でも(わたつて)となっていますが、(つ)が(り)と紛らわしく、特に明和版になると文字のかすれなどから(り)と読み間違えやすくなっています。 参照サイト
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略語記号:
(版):明和版 おくのほそ道
(海):海の見える杜美術館蔵
(京):京都国立博物館蔵
(山):山形美術館蔵
(逸):逸翁美術館蔵
版本に対して異同の色分け
黄色:漢字vsかな 橙色:送り仮名 水色:異体字 水色:別字 赤色:誤字・脱字・衍字
(異体字に関して一つの目安とお考え下さい)
01
(版).犬追・物・の跡・を一見し那須の篠原・を 08a.05
(海).犬追・ものゝ跡・を一見し那須の篠原・を
(京).犬追・物・の跡・を一見し那須の篠ハらを
(山).犬追ふものゝ跡・を一見し那須の篠原・を
(逸).犬追ふものゝあとを一見し那須の篠ハらを
02
(版).わけて玉藻の前の古墳をとふそれより
(海).わけて玉藻の前の古墳をとふそれより
(京).わけて玉藻の前の古墳をとふそれより
(山).わけて玉藻の前の古墳をとふそれより
(逸).わけて玉藻の前の古墳をとふそれより
03
(版).八幡宮に詣・与市扇の的・を射し時
(海).八幡宮に詣す与市扇の的・を射し時
(京).八幡宮に詣・与市扇のまとを射し時
(山).八幡宮に詣・与市扇の的・を射し時
(逸).八幡宮に詣・与市扇の的・を射し時
04
(版).別して我国氏神正八まんとちかひしも 08a.08[別して・] 明和版以外は[別してハ]
(海).別して我國氏神正八幡・とちかひしも
(京).別して我國氏神正八まんとちかひしも
(山).別して我国氏神正八まんとちかひしも
(逸).別して我國氏神正八まんとちかひしも
05
(版).此神社にて侍・と聞ハ感應殊・・しきりに
(海).此神社にて侍ると聞ハ感應ことにしきりに
(京).此神社にて侍ると聞ハ感應殊・・しきりに
(山).此神社にて侍ると聞ハ感應殊・・しきりに
(逸).此神社にて侍・と聞ハ感應ことにしきりに
06
(版).覚えらる暮れハ桃翠・宅に帰る
(海).覚えらる暮れハ桃翠か宅に帰る
(京).覚えらる暮れは桃翠・宅に帰る
(山).覚えらる暮れハ桃翠・宅に帰る
(逸).覚えらる暮れハ桃翠・宅に帰る
07
(版).修験光明寺と云・有そこにまね・れて 08b.05[まね<か>れて]明和版のみ[か]欠損
(海).修験光明寺といふ有そこにまねかれて
(京).修験光明寺と云・有そこにまねかれて
(山).修験光明寺と云・有そこにまねかれて
(逸).修験光明寺と云・有そこにまねかれて
08
(版).行者堂を拝す
(海).行者堂を拝す
(京).行者堂を拝す
(山).行者堂を拝す
(逸).行者堂を拝す
09
(版). 夏山に足駄を拝む首途哉・
(海). 夏山に足駄を拝む首途哉・
(京). 夏山に足踏を拝む首途哉・ [足踏=鐙]
(山). 夏山に足駄を拝む首途哉・
(逸). 夏山に足駄を拝む首途かな
10
(版).當国雲岸寺のおくに佛頂和尚山居・ 09a 注:柿衛本[山居の]
(海).當國雲岸寺の奥・に佛頂和尚山居・
(京).當国雲岸寺の奥・に佛頂和尚山居の
(山).當國雲岸寺のおくに佛頂和尚山居・
(逸).當国雲岸寺のおくに佛頂和尚山居の
11
(版).跡あり
(海).跡あり
(京).跡あり
(山).跡あり
(逸).跡有・
12
(版). 竪横の五尺にたらぬ草の庵
(海). 竪横の五尺にたらぬ草の庵
(京). 竪横の五尺にたらぬ艸の庵
(山). 竪横の五尺にたらぬ艸の庵
(逸). 竪横の五尺にたらぬ草の庵
13
(版). むすふもくやし雨なかりせハ
(海). むすふもくやし雨なかりせハ
(京). むすふもくやし雨なかりせハ
(山). むすふもくやし雨なかりせハ
(逸). むすふもくやし雨なかりせは [なかりせ][か]判読難
14
(版).と松の炭して岩に書付侍りと
(海).と松の炭して岩に書付侍りと
(京).と松の炭して岩に書付侍りと
(山).と松の炭して岩に書付侍りと
(逸).と松の炭して岩に書付侍りと
15
(版).いつそや聞え給ふ其跡ミんと雲岸寺に杖を
(海).いつそや聞え給ふ其跡ミんと雲岸寺に杖を
(京).いつそや聞え給ふ其跡見んと雲岸寺に杖を
(山).いつそや聞え給ふ其跡見んと雲岸寺に杖を
(逸).いつそや聞へ給ふ其跡みんと雲岸寺に杖を
16
(版).曳ハ人々すゝんて共・にいさなひ若き
(海).曳ハ人々すゝんて共・にいさなひ若き
(京).曳ハ人々すゝんてともにいさなひ若き
(山).曳ハ人々すゝむて共・にいさなひ若き
(逸).曳・人々すゝんて共・にいさなひ若き
17
(版).人おほく道のほと打・さハきておほえす
(海).人おほく道のほとうちさハきておほえす
(京).人おほく道のほとうちさハきておほえす
(山).人おほく道のほと打・さハきておほえす
(逸).人おほく道のほと打・さハきておほえす
18
(版).彼・梺に到・る山ハおくあるけしきにて 09b
(海).かの梺に到・る山ハおくあるけしきにて
(京).かの梺に到・る山ハおくあるけしきにて
(山).かの梺にいたる山ハおくあるけしきにて
(逸).かの梺に到・る山ハおくあるけしきにて
19
(版).谷道遥・・に松杉黒く苔したゝりて
(海).谷道遥・・に松杉黒く苔したゝりて
(京).谷道遥・・に松杉黒く苔したゝりて
(山).谷道遥・・に松杉黒く苔したゝりて
(逸).谷道はるかに松杉黒く苔したゝりて
20
(版).卯月の天今猶・寒し十景盡る所・・
(海).卯月の天今猶・寒し十景盡る所・・
(京).卯月の天今なを寒し十景盡る所・・
(山).卯月の天今猶・寒し十景盡るところ
(逸).卯月の天今なを寒し十景盡るところ
21
(版).橋をわたつて山門に入 09b.04[わたつて] 明和[わたつて][り]と[つ]が紛らわしい
(海).橋をわたりて山門に入
(京).橋をわたりて山門に入
(山).橋をわたりて山門に入
(逸).橋をわたりて山門に入
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