2015年7月22日水曜日

おくのほそ道 底本と主な参考文献

底 本
奥の細道 : 素竜本 野村宗朔 編 大倉広文堂 昭和7
インターネット公開(保護期間満了)
国立国会図書館デジタルコレクション
元禄T(底本)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1175286
井筒屋本の影印 (元禄版系)
井筒屋本は、素龍筆西村本を複製して出版されたもの。

    緒  言
・・・・・・・・・・・
一、本文一頁の前の原表紙写真から一〇八頁と一〇九頁の間の裏表紙写真まで素龍本の一つを原寸に複製し、一〇九頁から一一六頁までは他の一本に蝶夢が添へた素龍・去来・蝶夢の跋とその本の奥付であります。写真凸版の部分は点線を以て区劃して縦五寸五分・横四寸七分の原書の大きさを示しました。
・・・・・・・・・・・・
  昭 和 七 年 四 月
                          編 者 誌 す

 訂正、これまで、当方の不注意と理解の足りなさから、この本を明和系としておりましたが、上記の緒言からこの本が元禄版であったことに気づきました。
 この本に掲載されているのは、無署名跋のみで、素龍去来蝶夢の跋は他の本から転載されたものなので、本文摩耗の度合いが明和版とほぼ同じであっても、この本は明和版ではないということになります。
 謹んで訂正申し上げます。
  2018.4.15

 追記、底本の元禄Tについてですが、 雲英末雄の分類による明和版Aよりも後に刷られた可能性が出てきました。とすると、元禄Tは素龍・去来・蝶夢の跋のない明和版であるとも言えるかもしれません。
  2018.5.15 水音凛香・速水敬五

国会図書館デジタルコレクション 元禄T(底本)/  蕪村.巻T
国文学研究資料館 元禄K寛政K芭門七書K永機K奥の細道
駒沢大学図書館 元禄KM
相愛大学 春曙文庫 元禄SI
北海道大学図書館 明和H
宮内庁書陵部 別版S.有丁
酒田市立光丘文庫 寛政M写本M
新潟大学附属図書館 佐野文庫 寛政NS
岐阜大学図書館 寛政GF
愛知教育大学附属図書館 模写IK寛政IK
金城学院大学図書館 寛政KS
大阪大学附属図書館 忍頂寺文庫 寛政O
奈良大学図書館 寛政N1寛政N2
八戸市立図書館 模写HA註.HA
函館市中央図書館 香雪.交山HK
愛知県立大学図書館  明和I寛政I註.菅菰I 
立命館大学図書館 元禄R明和R寛政Rおくのほそみち 
Google ブックス 慶應義塾大学 元禄G1 元禄G2明和G別版G.桜寿軒
早稲田大学図書館  元禄A 元禄B 元禄C明和W寛政W1 寛政W2
別版A.有丁 別版B.有丁別版C.桜寿軒
半化坊W百家交筆W香雪.交山W永機W蕉門七書W芭蕉翁文集W 
模写A 写本W2 写本W3 写本W4  惟足W(吉川惟足)
註.洗心抄W奥の細道
西尾市岩瀬文庫 註.通解NO
弘前市立図書館 蕉門七書HR(写)
福井県文書館 模写FI
富山県立図書館 半化坊TY

芭蕉自筆奥の細道 上野 洋三 桜井 武次郎 編 岩波書店 自筆本
天理図書館善本叢書〈和書之部 第10巻〉芭蕉紀行文集 曽良本
河西本 おくのほそ道 村松友次 笠間書院 河西本
素龍筆 柿衛本 おくのほそ道 岡田利兵衛編 新典社 柿衛本
影印 おくのほそ道 櫻井武次郎編 双文社出版 西村本
校本おくのほそ道 西村真砂子 編著 福武書店 p245-282  影印  昔安本(東大本)
校本おくのほそ道 西村真砂子 編著 福武書店 p339-378  影印 土芳本
元禄版 おくのほそ道 雲英末雄編 勉誠社 元禄A
影印 奥の細道 上野洋三編 和泉書院 元禄D
去来本 奥の細道 勝峯晋風 岩波書店 村治本
天理図書館善本叢書〈和書之部 第10巻〉芭蕉紀行文集 下郷本
鼇頭奥之細道 村松友次 笠間書院  鼇頭
新釈おくの細路 木村架空 著 中央堂 明29.9 活版A

暫定的な注:
元禄版
・早稲田の元禄Aは「元禄版 おくのほそ道 雲英末雄編 勉誠社」の底本と同一である。元禄版の初版と目される。(早稲田の書誌によれば、雲英末雄旧蔵)
・国文研の元禄K・立命館の元禄R・相愛大の元禄SI・慶応の元禄G1G2・早稲田の元禄BCのそれぞれの書誌情報には元禄版とは記されていないが、当ブログでは元禄版として扱う。駒沢の元禄KMは、書誌に元禄15年刊とある。
・元禄Rは、枡型本の中でも横が長く、縦と横の比率は約100:88である。そのため、「のど (見開きの部分)」に丁付を見ることができる。はっきりと識別できる箇所「オク四」。 この他の版で丁付が見えるのは寛政IK(寛政版F) がある。こちらは更に横が長く、縦と横の比率は約100:92である。

明和版A 愛県大の明和I・立命館の明和R・慶応の明和Gは、雲英末雄の分類 (元禄版 おくのほそ道 雲英末雄編 勉誠社) では、明和版Aに対応する。(明和Gについては 明和Gについての覚書 参照)
・愛県大の明和Iの書誌情報では丁数は57丁とある。後見返しにはりこめられた蝶夢の跋は丁としては数えないようだ。雲英末雄の数え方では、57丁半となる。

明和版B 北大の明和Hは、雲英末雄の分類では、明和Bに対応する。
明和版C 元禄T p109-p116 に収録されている「素龍・去来・蝶夢の跋文、及び宣伝広告・書肆名」の部分は明和版Cであろう。

明和版D 未見
明和版E 早稲田の明和Wは、雲英末雄の分類には存在しない。明和版は4種とされているが、この本を含めると5種となる。(明和W第五種本の解題 参照)

寛政版A 愛県大の寛政Iは、雲英末雄の分類では、寛政版Aに対応する。
・寛政Iは寛政版Aに属するが、文字の欠損の状態から寛政版Bよりも後に刷られた可能性が高い。(寛政版Aが寛政版Bよりも後の版である可能性に留意)

寛政版B 岐阜大の寛政GFは、雲英末雄の分類では、寛政版Bに対応する。

寛政版C 金城学院の寛政KS・酒田光丘の寛政M・国文の寛政K・立命館の寛政R・早稲田の寛政W1W2は、雲英末雄の分類では、寛政版Cに対応する。
・新潟大の寛政NSは、「諧仙堂 蔵板」であるが、洛陽蕉門書林の書肆に「井筒屋庄兵衛・橘屋治兵衛」の名のみで「浦井徳右衛門」の名前がない。(詳しくは寛政NSは寛政版Cであることについて 参照)
寛政版C’ 奈良大の寛政N1は、雲英末雄の分類には存在しない。刊年書肆は寛政版Cに対応するが「蛤の」句の箇所が表表紙の見返しに来ている。これは次の寛政版Dがこの版を元にしていることを示唆している。
寛政版D 阪大忍頂寺の寛政Oは、雲英末雄の分類では寛政版Dに対応する。(雲英末雄が分類に用いた本と同一)
寛政版E 未見
寛政版F 愛教大の寛政IKは、雲英末雄の分類では寛政版Fに対応する。(雲英末雄が分類に用いた本と同一)
・奈良大の寛政N2は、寛政版であるが奥付の部分が無いので詳しくはわからない。刷りの状態などから寛政版Aあるいは寛政版Bと思われる。
・寛政版は、AからFまでの6種とされているが、寛政版C’の寛政N1を含めると7種となる。

別版 別版.有丁/別版.桜寿軒 は、元禄版のかぶせ彫り、或いは手本にてし作成されたものである。雲英末雄の分類ではそれぞれ「別版(有丁付本)」/「別版(桜寿軒本)」に対応する。
書陵部の別版S.有丁・早稲田 別版A.有丁別版B.有丁
慶応 別版G.桜寿軒・早稲田 別版C.桜寿軒

写本・模写
・井筒屋系
早稲田の・写本W2W3・光丘文庫の写本M・八戸市の写本HA・国会図の蕪村.巻T芭蕉翁文集W・下郷本・土芳本は元禄版の写しである。
早稲田の模写A・愛教大の模写IKは元禄版の模写である。(模写IKは国文研の書誌情報には、刊本とあるが臨写のように見える。詳しくは寛政版の底本について 参照)
福井県の模写FIは、寛政版Aあるいは寛政版Bの模写である。
弘前市の蕉門七書HRは、蕉門七書の写本である。
 
・井筒屋系以外
河西本は曽良本の写しである。
早稲田の惟足W(吉川惟足)は、井筒屋系とは異なり昔安本と関連がある。詳しくは、吉川惟足の「奥の細道」について 参照
村治本は井筒屋系とは異なり西村本からの写しである。去来筆の可能性もある。

刊本 
・富山県の半化坊TY・早稲田の半化坊W百家交筆W・函館市の香雪.交山HA・早稲田の香雪.交山W・国文研の蕉門七書K・早稲田の蕉門七書W・鼇頭は、井筒屋系を底本としている。

・国文研の永機K・早稲田の永機Wは、井筒屋系ではない。

註釈書 
・八戸市の註.鈔HAは「奥の細道鈔」
・愛県大の註.菅菰Iは「奥細道菅菰抄」
・西尾市の註.通解NOは「奥の細道通解」
・早稲田の註.洗心抄Wは「奥の細道洗心抄」
上記は井筒屋系を底本としている。

 2018.6.27 更新


当ブログを活用する際には、次の三冊の内のどれか一冊、手元にあるとよいと思います。

おくのほそ道
全訳注 久富哲雄 講談社学術文庫
素龍 西村本を底本としている。


芭蕉 おくのほそ道 付 曽良旅日記 奥細道菅菰抄 
萩原恭男校注 岩波文庫
素龍 西村本を底本としている。


新訂 おくの細道 付 曽良随行日記 
潁原退蔵・尾形仂 訳注 角川文庫
素龍 西村本を底本としている。



素龍井筒屋本・素龍柿右衛門本・曽良本・芭蕉自筆本
の対照に用いた文献

芭蕉自筆奥の細道 上野 洋三 桜井 武次郎 編 岩波書店
おくの細道 松尾芭蕉自筆本の影印と翻字、更に底本を基にした本文編。


天理図書館善本叢書〈和書之部 第10巻〉芭蕉紀行文集
この中に、曽良本の奥の細道の影印本が入っている。
他に、野ざらし紀行・鹿島詣・曽良旅日記・奥の細道(下郷本)・笈の小文・癸酉記行の影印が入っている。


素龍筆 柿衛本 おくのほそ道 岡田利兵衛編 新典社
素龍筆 柿衛本の影印



その他参考文献

古文書入門 くずし字で「おくのほそ道」を楽しむ 中野三敏
おくのほそ道 元禄Aの影印・翻刻・現代語訳・訳注がある。また、有名な章段には字母(元となる漢字)による翻刻もなされている。つまりこの一冊ですべてが網羅されている。 


新注絵入 奥の細道 曽良本 上野洋三編
おくの細道 曽良本 翻字 奥の細道にまつわる資料、翻字は色々な工夫がなされているが、残念ながら影印はない。大変な労作である。


影印 おくのほそ道 櫻井武次郎編 双文社出版
素龍筆 西村本の影印 (素龍清書本とも呼ばれる)
井筒屋本の原本


おくのほそ道 ビギナーズ・クラッシック
角川書店編
上記の角川文庫を底本にしている。
この本は解説も簡潔でわかりやすく、大変素晴らしと思うのだが、本文は、上記の角川文庫版の研究成果に従い改変されているので、原文を対比させるには向かない。
上記角川文庫(ソフィア文庫)は、原文を( )で残しているので対比が容易である。


日本古典文学全集 松尾芭蕉集 おくのほそ道 
井本農一 校注・訳 小学館 素龍
西村本を底本にしている。
はじめに
底本と主な参考文献
ひらがなの字母
表紙 000 
1.序章 001 002 003.03
2.旅立 003.03 004 
3.草加 005 006.05
4.室の八島 006.06 007.05
5.仏五左衛門 007.06 008 009.01
6.日光 009.02 010 011 012.03
7.那須 012.04 013 014.06
8.黒羽 014.07 015 016.07
9.雲巌寺 016.08 017 018 19.07
10.殺生石・遊行柳 19.08 020 021.02
11.白河の関 021.03 022.06
12.須賀川 022.07 023 024 025.05
13.あさか山 025.06 026.06
14.しのぶの里 026.06 027.07
15.佐藤庄司が旧跡 027.08 028 029.07
16.飯塚 029.07 030 031.08
17.笠島 031.08 032 033.03
18.武隈 033.04 034 035.01
19.宮城野 035.02 036 037.04
20.壺の碑 037.05 038 039 040.03
21.末の松山 040.04 041 042.04
22.塩竈 042.04 043 044.04
23.松島 044.05 045 046 047 048 049.05
24.石巻 049.06 050 051.07
25.平泉 051.08 052
053 054 055.01
26.尿前の関 055.02 056 057 058 059.01
27.尾花沢 059.02 060.03
28.立石寺 060.04 061
29.最上川 062