おくのほそ道 素龍筆 井筒屋本 023 ルビ付
02「沼と」 文字欠損のため他版参照
03「今日は,の」文字欠損のため他版参照
右端の「今日の」は誤刻である。
08「腸を, 越(を)」文字欠損のため他版参照
欠損の状態からすると、右端の越(を)の変体仮名が基である可能性が高い。とすると、明和版の基になった元禄版は、この部分に「越」の変体仮名が使われた版という事になるか? と思ったのですが、もう少し見てみたところ次のような感じになりました。
上記のように、元禄初版では、「を」であったものが欠損し、明和版は欠損したまま写され、もう一つの不明(元禄系)の版は欠損箇所を「越を」の変体仮名に改変したようです。
おくのほそ道 素龍筆 井筒屋本 023 変体仮名
01 尓(に)岩城相馬三春の庄常陸下野
02 の地をさ可(か)ひて山つらなる可(か)け沼と
03 云所を行尓(に)今日八(は)空曇て物
04 影うつらすす可(か)川の驛尓(に)等窮
05 といふものを尋て四五日とゝめらる
06 先白河の関い可(か)尓(に)こえつるやと
07 問長途のくるしみ身心つ可(か)れ且八(は)
08 風景尓(に)魂う八(は)ゝ連(れ)懐旧尓(に)腸を
注:
03 云所---云ふ所
03 行に---行くに
03 曇て---曇りて
05 尋て---尋ねて
06 先---先づ
07 問---問ふ
おくのほそ道 素龍筆 井筒屋本 023
濁点・現代仮名・(読点は曽良本に従う)
01 に、岩城(いはき)、相馬(さうま)、三春の庄、常陸(ひたち)、下野(しもつけ)、
02 の地をさかひて、山つらなる、かげ沼と
03 云ふ所を行くに、今日は、空曇りて、物
04 影うつらず、すか川の驛に、等窮(とうきゆう)
05 といふものを尋ねて、四五日とゞめらる、
06 先づ白河の関、いかにこえつるやと
07 問ふ、長途(ちやうど)のくるしみ、身心(しんじん)つかれ、且(かつ)は、
08 風景に魂うばゝれ 懐旧(くわいきう)に腸(はらわた)を
諸本の異同の対照
井筒屋本
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柿衛本
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曽良本
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芭蕉自筆本
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023.01(三春)
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19.06(三春)
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08b.09(三春)
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07a.11(箕張)
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023.03(今日)
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19.08(けふ)
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09a.01(けふ)
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07a.12(けふ)
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023.03(曇て)
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19.08(くもりて)
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09a.01-02(曇りて)
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07a.13(曇りて)
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023.03-04(物影)
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19.09(物かけ)
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09a.02(物影)
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07a.13(物ゝ影)
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023.04(すか川)
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19.09(すか川)
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09a.02(須か川),(須)変体仮名のようでもあるが、すぐ前の(須)の変体仮名と字体が異なる
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07a.13(須か川)
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023.04(等窮)
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19.10(等窮)
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09a.02(等窮)
(等躬)(躬)見せ消ち右に(窮)
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07a.14(等躬),(キウ)ルビ有り
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023.05(尋て)
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19.10(尋て)
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09a.03(たつねて)
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07a.14(たつねて)
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023.05(四五日)
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19.10(四五日も)
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09a.03(四五日)
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07b.01(四五日)
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023.06(白河)
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20.01(白川)
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09a.03(白河)
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07b.01(白河)
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023.06(いかにこえつるやと),(に)脱
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20.01-02(いかにこえつるやと),(に)脱
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09a.04(いかにこえつるにやと)
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07b.01-02(いかにこえつるにやと)
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023.07(問)
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20.02(とふ)
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09a.04(問)
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07b.02(問)
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023.07(身心)
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20.02-03(身心)
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09a.05(身-心)
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07b.02(身-心)
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