2015年9月14日月曜日

おくのほそ道 素龍筆 井筒屋本 039

おくのほそ道 素龍筆 井筒屋本 039 底本
おくのほそ道 素龍筆 井筒屋本 039 底本

おくのほそ道 素龍筆 井筒屋本 039 ルビ付
おくのほそ道 素龍筆 井筒屋本 039 ルビ付

おくのほそ道 素龍筆 井筒屋本 039 変体仮名
01 と有聖武皇帝の御時尓(に)当れり
02 む可(か)しよりよみ置る哥枕おほく
03 語傳ふといへとも山崩川落て道
04 阿(あ)らた万(ま)り石八(は)埋て土尓(に)可(か)くれ
05 木八(は)老て若木尓(に)可(か)八(は)れ者(は)時移り
06 代変して其跡多(た)し可(か)ならぬ事
07 の三(み)を爰尓(に)至りて疑なき千
08 歳の記念今眼前尓(に)古人の心

注:
01 有---有り
02 置る---置ける
03 崩---崩れ
03 落て---井筒屋系の板本は、元禄版・明和版・寛政版・全て「落て」となっているが、芭蕉自筆本・曽良本・柿衛本は「流て(ながれて)」となっている。また、板本の原本の西村本も「流て」となっているので、板本の「落て」は板本特有の誤写と見て間違いないだろう。
 去来(下郷本)では、この部分が「落て」となっているので、板本からの写しの可能性が高く、去来筆という可能性は低い。また、060.05「開基にて」の誤写も同じ構造になっているので、同じことが偶然重なるとは考えられない。よって、去来(下郷本)は井筒系の板本からの写しであると確定される。

底本03「落て」 西村本「流て」 去来(下郷本)「落て」
底本03「落て」 西村本「流て」 去来(下郷本)「落て」

おくのほそ道 素龍筆 井筒屋本 039
濁点・現代仮名・(読点は曽良本に従う)
01 と有り、聖武皇帝の御時に当れり、
02 むかしより、よみ置ける哥枕、おほく、
03 語傳ふといへども、山崩れ、川落て、道
04 あらたまり、石は埋(うづもれ)て土にかくれ、
05 木は老て若木にかはれば、時移り、
06 代(よ)変じて、其跡たしかならぬ事
07 のみを、爰に至りて、疑なき、千
08 歳の記念(かたみ)、今眼前に、古人の心

諸本の異同の対照
井筒屋本
柿衛本
曽良本
芭蕉自筆本
039.01()
32.02(あり)
15a.01()
12a.03()
039.01(当れり)
32.03(あたれり)
15a.01-02(あたれり)
12a.04(あたれり)
039.02(むかしよりよみ置る)
32.03(昔よりいみをける)
15a.02(むかしより、よみ置る)
12a.04-05(むかしよりよみ置る)
039.02(おほく)
32.04(おほく)
15a.02(多く),()の右に(ヲゝ)ルビ有り
12a.05(多く)
039.03(語傳ふ)
32.04(かたりつたふ)
15a.02-03(かたり傳ふ)
12a.05(かたり傳ふ)
039.03(山崩川落て),
西村本(山崩川流て)
去来下郷(山崩川落て)
菅菰抄(山崩川落て)
吉川惟足(山崩川流て)
晋其角(山崩川流て)
32.04-05(山崩れ川なかれて)
15a.03(山崩、川流て)
12a.06(山崩川流て)
039.04(埋て)
32.05-06(埋れて)
15a.04(埋て)
12a.07(埋て)
039.05(若木にかはれは)
32.06-07(わか木にかはり)
15a.04-05(若木にかはれは)
12a.08(若木にかはれは)
039.06-07(事のみを)
32.08(事のみ)
15a.06(事のみを),()右に補う
12a.10(事のみ)
039.07(爰に至りて)
32.08(爰に至りて)
15a.06(爰至りて)
12a.10(爰至りて)
039.07(疑なき)
32.09(うたかひなき)
15a.06(うたかひなき)
12a.10(うたかひなき)
039.08()
32.09(いま)
15a.07()
12a.11()